コラム

2025-09-03 13:55:00

2025年下期 福岡市西区の中古マンション市況予測  〜姪浜・愛宕浜・今宿の3エリア比較〜

 

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2025年も半ばを過ぎ、購入にしても売却にしても不動産市況を気にされる方が増えています。特に実需で売買する「ファミリー向けマンション」は価格変動や需要動向の影響を直に受けるため、今後の見通しを把握しておくことはとても大切です。今回のコラムでは、筆者も住んでいて馴染みのある福岡市西区にスポットを当て、人気の 姪浜・愛宕浜・今宿 の3エリアを比較しながら、中古マンション市場の現状と2025年下期の展望を(ざっくりとしたリサーチで恐縮ですが)取りまとめました。購入・売却を検討している方の参考になれば幸いです。

 

◎西区エリアの不動産市況の大枠

福岡市全体のマンション市況は、新築価格の高止まりと供給不足、中古への実需流入という構図が続いています。建築コストは依然として高く、新築分譲マンションは価格を下げにくい状況のようです。そのため新築は5,000万円台が珍しくなく、ファミリー層にとってはちょっと手が届きにくい水準です。

一方、中古市場は比較的選択肢が多く、当然ながら価格も新築に比べて現実的です。西日本レインズの成約統計でも、中古マンションの取引は堅調さを保っており、福岡市西区も例外ではありません。特に人気のある70㎡前後・3LDKクラスは、築10〜20年の手頃な物件を中心に回転が速い傾向があります。

 

以下に西区の人気エリア、姪浜、愛宕浜、今宿の状況をまとめてみました。

①姪浜エリア:生活利便性と街の安定感が魅力

まずは福岡市西区の中心的存在「姪浜」。地下鉄空港線の始発駅があり、天神や博多へのアクセスも良好。駅前には商業施設や公共機関も揃っており、ファミリー層にとって暮らしやすいエリアです。

直近のデータによると、姪浜の中古マンション相場は 約35万円/㎡(坪118万円)。70㎡程度で2,000万〜3,000万円台が目安です。ただし、駅徒歩10分以内の築浅物件になると 坪単価200万円~に達するケースもあり、条件が揃えば価格は高水準を維持しています。

上記のように特徴的なのは価格帯の広さ。駅近の利便性を求めるファミリーには堅調な需要がありますが、一方で築年数が経過していたり駅距離があると価格が抑えられるため、総額を抑えたい層にも選択肢が残されています。つまり姪浜エリアは「予算やライフスタイルに応じて幅広い選択ができる」点が強みといえるでしょう。

 

②愛宕浜エリア:海と共に暮らすライフスタイルを楽しめる

続いて「愛宕浜」。マリナタウンを中心に広がる海沿いエリアで、リゾート感覚あふれる街並みが特徴です。SUPやウィンドサーフィンなど海遊びを日常に取り入れたいファミリー層には根強い人気があります。

相場をみると、愛宕浜の中古マンションは 坪単価100〜150万円と築年数による差が大きいのが特徴。築18年程の物件では坪150~250万円と西区では高水準ですが、築30年近い物件では坪100〜130万円台と手頃感が出てきます。中央値では3LDKで 約3,200万円程度が目安となります。

このエリアの魅力は「立地そのものがライフスタイルを物語る」点です。眺望・階数・塩害対策といったポイントで評価が大きく分かれ、価格にも反映されます。買い手にとっては「海のある暮らし」をどこまで重視するかが判断の軸になり、売り手にとっては「海沿いの特別感」をどう訴求するかがカギになります。

 

③今宿エリア:急伸する郊外の注目株

3つ目は「今宿」。JR筑肥線の駅エリアで、近年は駅周辺の再開発や新規分譲の影響もあって注目度が増しています。海と住宅街が繋がっており、また糸島方面の玄関口といった趣もあり自然豊かな環境と福岡都心部へのアクセスのバランスが取れていて、心地いい暮らしができるとファミリー層や単身者に人気が高まっています。

2025年時点での相場は 46万円/㎡(坪約152万円) と、西区内ではむしろ高水準。1年前からの上昇率は+34.6%と大幅で、市場が過熱している印象です(物件が偏っている?!)。ただし、築古・駅徒歩10分以上になると 坪約100万円前後と手頃になり、立地次第で価格差が大きく出る点には注意が必要です。

今宿の特徴はもちろん物件にもよりますが「短期的な価格上昇が顕著」なこと。将来の資産価値や売却時のリセールを意識する方には魅力的かもしれませんが、購入する場合は過熱感を踏まえた慎重な判断が必要でしょう。

 

◎エリア比較まとめ

①姪浜:安定した利便性、価格帯の幅が広く、条件に応じた選択が可能。

②愛宕浜:ライフスタイル重視、築浅の価格は高水準だが築古は手頃。眺望や管理が重要。

③今宿:価格上昇が急で資産性の高いケースはあるが、立地条件による選別が難しい。

 

◎2025年下期の西区エリアの市況見通し

結論として、西区全体でいうと中古マンション相場は「横ばい〜やや強含み」と予想されます。特に駅近・築浅・70㎡前後の物件は引き続き成約が早く、値崩れの可能性は小さいと見ていいでしょう。新築価格が下がりにくい状況が続けば、中古に実需が流れ続ける構図は変わらないでしょう。

一方で、郊外寄り・築古・駅距離ありの物件は、条件によって成約スピードに差が出ます。管理体制・管理費・修繕積立金・駐車場の有無といった要素が購入判断に直結するため、購入の際はしっかりチェックしてください。また売主はこれらの情報をしっかり開示することが求められます。

 

◎購入の際のアドバイス

・駅徒歩10分以内・築10〜20年・70㎡前後を第一候補に。需要が安定しており、資産性も確保しやすいと思われます。

・資金計画は金利上昇余地を織り込み、変動金利、固定金利を複数シナリオで試算しておきましょう。

・愛宕浜の海沿い物件は塩害・修繕状況(計画含め)の確認は必須。景観や趣味性に価値を見出す人にとっては市内でもベストに近い選択でしょう。

・中古+リノベーション(リフォーム)で総額をライフプラン的に最適化。新築の割高感を避けつつ快適性を確保できるかがポイントでしょう。

 

◎売却の際のアドバイス

・販売初期の露出の最適化と最大化を。価格設定・写真・ホームステージングなどで初動1か月を勝負期と考えましょう。

・エリア特性を活かした訴求:姪浜は利便性、愛宕浜は海のある暮らし、今宿は資産性の高さを強調してみましょう。

・管理・修繕の透明化。長期修繕計画や直近工事履歴を提示することで、ファミリー層などの安心感を掴みましょう。

 

◎まとめ

福岡市西区の中古マンション市場は、ご紹介してきたようにエリアごとにカラーが際立っています。姪浜は利便性と安定感、愛宕浜は海沿いのライフスタイル、今宿は急伸する資産価値。それぞれに特徴があり、どのエリアを選ぶかは「家族のライフスタイル」と「資産性への考え方」によって変わります。

2025年下期は、新築の価格高止まりと金利上昇を背景に、中古市場は引き続き堅調な推移が見込まれます。購入を検討している方はスピード感を持って情報収集を、売却を検討している方は適切な戦略で初期の集客を最大化することが成功のポイントかと思われます。

人気の福岡でも「西区で暮らす」という選択は、便利さと自然、都市と自然(海)をバランスよく享受できるというメリットがあります。ぜひ、自分たちのライフスタイルに合った「我が家」を見つけていただければと思います。

 

 ✅福岡市内の中古マンションのご購入・ご売却を検討されている方は

 下記問合せフォームよりご相談くださいね。

 https://fukuokarealestateagent.com/contact

 

 

※価格は2025年9月2日筆者調べ。また多数のオープン資料を参考にさせていただきました。

 筆者独自のリサーチゆえ、事実と異なる場合や多少の誤差はご容赦くださいませ。