コラム
不動産売却で後悔しないために エージェントが伝えたい「5つの注意点」
住まいの売却は、多くの方にとって「人生でそう何度も経験しない」大きな決断です。
住み替えや相続、空き家・資産整理など、売却の背景はさまざまですが、共通して言えるのは「感情」と「資産」が密接に絡むということ。愛着があるからこそ、いざ売却しようとすると思い悩んでしまうのも無理のないことです。だからこそ、冷静で正確な判断が求められます。
ここでは、不動産エージェントとして実際の現場で感じる“失敗しないためのポイント”を、5つの観点からご紹介します。
①相場を「知る」よりも、「理解する」
まず大切なのは「相場感の正確な把握」です。不動産ポータルサイトで似たような物件の価格を見て「うちもこのくらいだろう」と思いがちですが、実際の取引価格は広告掲載価格より1〜2割下がることが一般的です。
また、「成約事例」に基づいた査定と、「販売中物件」に基づく査定では意味が異なります。前者は“実際に売れた価格”、後者は“売主の希望価格”です。
地域密着のエージェントであれば、最新の成約データや、購入希望者の動きまで含めて相場を“立体的に”捉えられます。机上査定だけで判断せず、「なぜこの価格になるのか」を説明してもらうことが重要です。
②「売り出し価格」はゴールではなく、スタートライン
売却を急ぐあまり「少し高めで出して様子を見よう」と設定してしまうケースは多く見られます。
しかし、売却初期の2〜4週間は最も反響が多く入る“勝負期間”です。このタイミングを逃すと、閲覧数や問い合わせが急激に減り、価格調整を余儀なくされることになります。
理想は、相場よりやや高めでも「購入検討者にとって現実的」と感じてもらえる価格設定。
エージェントと販売戦略を共有し、「どのタイミングで価格を見直すか」「いくらまでだったら価格を下げられるか」まで最初に合意しておくと、後の判断がスムーズです。
③ 内覧対応とホームステージングの工夫
「中古だから多少古くても仕方ない」と思う方もいますが、印象次第で売却価格が数十万円単位で変わることもあります。
特に近年はオンライン内覧が増え、お部屋の第一印象が非常に重要です。
室内の整理整頓、照明の明るさ、カーテンや観葉植物の配置など、簡単な工夫でも「住みたい!」と感じてもらえる空間に変わります。
また、空き家の場合は「空気がこもらないようにする」「照明をつけてして明るく見せる」、一軒家なら庭の手入れをしておくなど、「管理の丁寧さ」が内覧の際に安心感を与えます。必要に応じて、プロのホームステージング(演出)を取り入れるのも効果的です。
④ 相続・空き家・共有名義物件は「法的整理」を先に
相続物件や共有名義の不動産では、売却前に“権利関係”を明確にすることが最優先です。登記名義が古いまま、相続登記が未了、複数人の同意が取れていない——このような状態では売却活動そのものが進められません。
また、相続税や譲渡所得税の申告にも関わるため、税理士や司法書士と連携した早めの整理が必要です。
空き家特例などの税制優遇を利用できるケースもあるため、「いつ」「誰が」「どのように」売却するのが最も有利か、エージェントに相談しながら進めましょう。
⑤ 売却スケジュールと資金計画の“逆算”
住み替えを伴う売却では、最もトラブルが多いのが「スケジュールのずれ」です。新居の契約・引き渡しと、現在の住まいの売却タイミングを誤ると、二重ローンや仮住まいの負担が発生します。
解決策としては、「買い先行」か「売り先行」かを早期に判断し、資金計画を立てること。必要に応じて「つなぎ融資」や「買取保証」を活用するなど、複数の選択肢を検討しましょう。
また、売却にかかる諸費用(仲介手数料、登記費用、測量・解体費、税金など)も見落としがちです。手取り額の見通しを事前にシミュレーションしておくと、次のステップを安心して進められます。
まとめ:売却の“正解”は、あなたの目的次第
不動産の売却には「これが正しい」という唯一の答えはありません。「できるだけ高く売りたい」「早く現金化したい」「相続の整理を円滑に進めたい」など、目的が違えば最適な戦略も変わります。
大切なのは、“誰に相談するか”です。エージェントは単なる仲介者ではなく、あなたの資産を守り、次のステージへ導くパートナー。市場の動き、地域特性、税・法務の知識を総合的に踏まえて、最善の方法を一緒に考えます。
売却はゴールではなく、新しい暮らしへの「はじまり」。その第一歩を、信頼できるプロとともに踏み出していただければと思います。
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