コラム
リノベーション前提での中古マンションの探し方アレコレ
このところの新築マンションの高騰で、予算内で住みたいエリアに新築マンションが見つからない、というケースが増えているようです。
購入をあきらめて賃貸に住み続けるか迷っている方も多いはず。そこで不動産エージェントからの提案です。リノベーションを前提にして中古マンションを探す、という選択肢はいかがでしょうか。
このコラムで以前にも取り上げましたが、少し築古の中古マンションなら、リノベーションの予算を上乗せしたとしても手頃な価格の物件が流通しています。それも新築分譲マンションが建つ余白のないような稀少な立地の場合も多いのです。
そこで今回は、筆者の自宅マンションリノベーションの経験をもとに、リノベーション向きの中古マンションの探し方やリノベーションで成功するポイント等をチェックしていきます。
まずは、リノベーションを前提とした中古マンションの購入でチェックする7つのポイントについてです。
1. 管理状況はどうか(近隣トラブル等はないか)確認する
例えば、エントランスホールに騒音トラブルやたばこのポイ捨て、共有部分の使用についての注意などの貼り紙があったりする場合は、一部の居住者のマナーが悪い可能性があります。
また、ゴミ収集所にルールを無視した廃棄物が捨てられているといった状況が確認できれば、建物全体の管理状況を判断することもできます。
このような管理状況については、仲介する不動産会社に確認するとともに、内見時に自分でもチェックしておきましょう。
2.建物が新耐震基準を満たしているか
マンションのリノベーションはあくまでも専有部分(自分の部屋)のみが対象となるため、個人で建物全体をリノベーションして耐震性を高めることはできません。建物の耐震性は物件選びの際必ず確認しておく必要があります。
マンションの耐震基準は、1981年の6月1日を境に大きく変化しています。それまでの「旧耐震基準」は、現行の「新耐震基準」と比べて震度の想定が低めに設定されているため、物件によっては耐震性に不安があるものもあります。
そのため、基本的にまず新耐震基準の物件を選ぶのが無難といえるでしょう。どうしても旧耐震基準(築40年以上経過した)の物件が気に入って購入しようとするのであれば、耐震補強などが適切に行われているかをチェックしましょう。
物件によっては、専門家による耐震診断が行われているケースもあるので、その内容も仲介会社に確認しておくと安心です。
3.共有設備が老朽化していないか
建物の耐震性が個人でリノベーションできないのと同じように、共用部分の設備や配管などは自分で修繕することはできません。これらの共有部分は、マンション全体で行う「大規模修繕工事」によって改修されるので、購入前には施工履歴を確かめておくことが大切です。
リノベーションを前提とした中古マンション選びでは、特に「変えられない部分」を必ずチェックするようにしましょう。
4.長期修繕計画はあるか、過去に適切に実施されたか
マンションは管理状態や修繕の実施の有無によって、寿命が大きく変わります。マンションの修繕計画は、仲介する不動産会社を通して購入前に入手できるので、あらかじめ大規模修繕の履歴や実施計画、修繕積立金の積み立て状況(滞納など)などを調べておくといいでしょう。
5.管理費や修繕積立金の月額費用も忘れずに
中古マンションの購入後には、新築購入と同じように毎月の管理費や修繕積立金が発生します。修繕積立金は共用部分に関する費用であるため、専有部分である自室のリノベーションを行ってリニューアルしたとしても、必ず支払わなければなりません。
特に築年数が経過している物件の場合、修繕積立金が高くなる傾向にあるので、あらかじめ調べておき、住宅ローンに加えて毎月のトータルの支払額を把握しておきましょう。
6.管理規約によるリノベーションの範囲はどこまで可能か
マンションでのリノベーションは、「管理規約」に沿って行うことが前提となります。
物件によっては「張り替える床材に制限がある」「内装に使ってはいけない素材がある」「設備の移動は認められない」など、リノベーションに関する禁止事項が定められていることも多いので注意しましょう。
また、前述しましたがリノベーションが認められるのは専有部分のみです。バルコニーや窓、玄関ドアは共用部分であるため、個人ではリノベーションができないことを前提に考えておいてください。
7.物件+リノベーション費用の準備について
リノベーションを前提に中古マンションを探すのであれば、「マンションの購入費用」と「リノベーション費用」の2つの費用を準備する必要があります。この場合、マンションの購入費用は住宅ローンで、リノベーション費用はリフォームローンで用意しようと考える人も多いでしょう。ただし「リフォームローン」は、住宅ローンと比べて返済期間が短く金利も高い傾向にあります。
そこで、検討したいのが「住宅ローン」です。リフォーム費用も中古物件の購入代金と一緒に「住宅ローン」で借りる方法です。この時の住宅ローンの返済は、リフォーム工事期間は金利の支払いだけで元金の返済は待ってもらうことも可能な金融機関もあるので、あらかじめそうした商品を探すようにしてみてください。
※購入する物件の築年数によっては、住宅ローンを借りられる限度額や期間が制限されることもあります。
以上のように、思い通りのリノベーションで理想のマンションライフを実現するためには、専有部分だけでなく、管理状況や管理規約、構造、長期修繕計画、また資金計画等も事前に確認しておく必要があります。まずは基本的な禁止事項をチェックするとともに、配管、設備、電気配線などを動かせるかも必ず調べておきましょう。
プロでなければ確認することが難しい箇所もあるため、リノベーションプランを含めて相談できる不動産会社・リフォーム会社などに物件探しから手伝ってもらうのもひとつの方法です。
まとめ
どんな中古マンションがリノベーションに向いているか見極めるのは、正直なかなか大変です。後悔しない理想的な住まいを手に入れるためには、「物件選び」と「リノベーション」についての情報収集と知識を深めておく「充電期間」が必要だと思います。
まずは書籍や雑誌、ポータルサイトやリフォーム会社や不動産会社のサイトをチェックして、どんな物件があるのか、叶えたいリノベーションのイメージ、予算感などをざっくり自分で把握し、家族で共有しておくことをおすすめします。
◎追記
物件選びを行う際には、「リノベーション済みの中古マンション」も視野に入れてみてはいかがでしょうか。希望に合う物件に出会えれば、そのまま購入を進めた方が手間や時間は省略できます。また、実際にリノベーション済み物件を内見することで、自身のリノベーションプランに生かせるヒントが見つかるかもしれません。