コラム
ボーっと見てたら、チコちゃんに叱られる!? 中古住宅の見学前の準備と見学のポイント
マンションや戸建ての中古住宅を購入する際、ネットなどで気になる物件を見つけたら、まずは不動産会社(エージェント)に連絡して内見(実邸の見学)をすることになります。この内見のやり方次第で中古住宅の購入に成功するか後悔するかが決まってくる、ってご存知でしたでしょうか?
内見は、ただ漫然と住宅を見るのではなく、実際にそこに住んだ時のことを想像して、希望する暮らしが実現できそうかを判断するための貴重な機会です。見落としや勘違いなどがないよう、内見時の限られた時間で必要にして十分な情報を得なければなりません。
よく物事の成功のカギは「段取り」だと言われるように、この大事な住まい探しの一歩を踏み出す前には、しっかりと「段取り=事前準備」をしておくことが大切です。自分や家族の希望に合った住まいのチェックポイントを書き出したり、売主や不動産会社(エージェント)への質問リストを作成したり、用意できる頭金や毎月の支払可能額の把握、また住宅ローンの事前審査などについて理解をしておくなど、内見に出かける前に必ず確認しておきたいいくつかの大事なポイントがあります。
このコラムでは、理想の住まいを手に入れるために、宅建士エージェント的に見た「中古住宅の内見を成功に導く」ための事前準備情報をご案内します。
◎目次
①中古住宅内見前の事前準備
②中古住宅内見のポイント
③持参すべき持ち物とは
④ローンの事前審査と総コストの試算
①中古住宅内見前の事前準備
・内見の目的を明確にする
内見は、自身や家族のニーズに合っているかどうかを判断することが大きな目的です。この目的をはっきりさせることで、具体的なチェックポイントや質問事項が見えてきます。たとえば、家族構成やライフスタイルに合わせた間取りかどうか、通勤・通学には便利か、生活利便施設は近所にあるか、周辺環境に問題はないかなど、自身や家族の優先順位に沿ったチェック項目を決めることが大切です。また、購入時にリフォームやリノベーションをするのか、将来的に売却の可能性があるのかについても考えておきましょう。これらを踏まえた上で内見に臨めば、ぱっと見の印象や感情に流されずに客観的かつ冷静な判断ができるようになります。
・事前に質問リストを作成する
内見の目的やチェック項目をリストアップしたら、次は質問リストを作ります。住宅の現状や築年数、日当たりや通風、住宅設備の老朽化の程度、リフォームの履歴、近隣とのトラブルの有無、マンションなら管理状況など、細かい点まで質問リストに盛り込みましょう。しかし、実際に内見してみるとその物件特有の予期しない問題なども見つかる可能性もあり、新たな疑問が浮かんだ場合には必ずメモしてチェックしておきましょう。質問リストは、後でどの物件を購入するか比較検討する際の大切な情報源となりますので、内見の前にしっかりと準備しておいてください。また、資金計画に関連する質問、住宅ローンの利用条件や物件価格の交渉余地などお金に関する質問も重要になります。
<内見時に忘れがちな質問>
・防犯・セキュリティについて
・町内会や隣人等の関係性
・災害ハザードマップの有無や災害時の対策に関する質問
②中古住宅内見のポイント
・売主や仲介者への的確な質問術
売主や仲介する不動産会社(エージェント)への的確な質問は、交渉を有利に進めるカギとなります。そのためには、相手が答えやすく、かつ必要十分な情報を引き出せるような明確で簡潔な質問を心がけましょう。不慣れな不動産の専門用語を使うよりは、自身が理解している言葉で具体的に質問することが大切です。また、質問をする際には、重ねて自身の要望をハッキリさせ、遠慮せずに、交渉において譲れる点、譲れない点を明確にしておくことが肝心です。それにより、売主や仲介の不動産会社(エージェント)との対話を通じてお互いの合意点を見つけやすくなります。質問への回答は必ずメモしておくことは言うまでもありません。
・内見後は記録を残しておこう
内見後は、その物件が自身や家族にとって理想的な住まいかどうかをじっくり判断することが大切です。内見時に感じた感情や印象、疑問点などを記録しておくことで、後から冷静に検討する際の大事な判断材料となります。日当たりや風通し、収納の容量といった具体的な情報も記録しておくことよいでしょう。また、室内・外観の写真を撮影しておけば、後で物件を比較検討したり、詳細を確認する際に役立ちます。これらのメモや写真は、将来的なリフォームや家具の配置を考える上でも役に立ちます。この段階で重要なのは、第一印象や直感のみに頼らず、家族や場合によっては第三者を交えて、具体的な視点から物件を評価することです。
・構造や設備のチェックリスト
購入を検討している中古住宅について、まず確認しないといけなのは建物の構造や設備の状態です。耐震性の点では、建築当時の基準を満たしているか、あるいは後からの補強はされているのかといったことが重要な判断材料となります。また、戸建てでは屋根や外壁の状態、基礎のひび割れなども念入りにチェックする必要があります。内見時には、特に水回りの設備もしっかりと目を通しておきましょう。給湯器や配管の状態はもちろんのこと、トイレ、風呂、洗面所などの日常的に使う部分の劣化がないかを確認することで、将来的なリフォームの必要性も見極められます。電気配線やガス設備に関しても、埋め込み式であるか、露出しているかなど、安全面の確認を怠らないようにしましょう。
・リフォームの有無とその詳細
中古住宅を見る際は、過去に行われたリフォームの有無を確認することが大切です。リフォームが行われた場合、どの程度の規模で、どのような工事がされたのか、詳細をヒアリングしましょう。キッチンやお風呂、トイレ等の水回りだけでなく、床や壁の張り替えがあるかどうかもチェックするべきです。材質にも注目し、将来的に発生しうるメンテナンスの問題を見積もることが出来ます。さらに、リフォームによって生じた隠れた欠陥がないか、細やかな検査も必要です。実際の工事を行った業者や時期、保証の範囲などの情報も、後々のトラブルを避けるために収集しておくべきでしょう。
・日当たりや通風の評価の仕方
日当たりと通風は住まいの快適さに直接影響を与えます。これらを評価するには可能なかぎり様々な時間帯に内見することをおすすめします。朝、昼、夕方のそれぞれの時間にどの部屋にどの程度光が差し込むのか、風が通り抜けるのか把握しておきたいものです。自然光の入り方は、生活のリズムや心地良さに直接関わってきますし、通風に関しては、窓の位置や大きさ、そして周辺の建物や地形によって風の通り方が左右されるため、これらも重要な評価項目となります。特に夏場の涼しさや冬場の暖かさを考慮すると、採光や通風はエネルギーコスト削減にも繋がりますから、じっくりと吟味することが重要です。
・住宅瑕疵保険などの確認
建物に関して忘れてはならないのが、「住宅瑕疵保険」の有無と内容の確認です。新築物件の場合、通常、住宅瑕疵担保責任保険に加入していることが多いですが、中古物件の場合はその保証がないこともあります。保険に加入している場合でも、どのように保証されるのか、どの部分が対象なのかを把握しておいてください。もしも引き渡し後に瑕疵が発見されたときに、適切な手続きをとることができるからです。不明点は、必ず不動産会社(エージェント)や売主に確認し、納得いくまで説明してもらいましょう。
・内見は最低2回すべし
一度目の内見だけでは見落としがちな問題点が、二度目の内見で見えてくることがあります。また、異なる時間帯に訪問することで、日中の明るさや周囲の騒音や生活音など、生活環境に大きく影響する要素を再チェックできます。もし可能であれば、平日と週末それぞれ内見を行い、周囲の環境がどのように変わるのかを体感してみましょう。内見を2回行うことで、購入の決断に必要な最終判断が可能となることがあります。
③持参すべき持ち物とは
・メジャーやメモ帳
家具の配置を検討する際やカーテンのサイズを確認する時などに、メジャーは欠かせません。また、気づいたことなどを後で思い返したい時にメモ帳はとても便利です。
・カメラやスマートフォンの活用法
内見して時間がたつと記憶が曖昧になったり、間違っていたりすることもあります。内見した物件のリビングの壁紙、建具の色などを思い違いしてしまうと、その後購入する家具やカーテンが部屋に合わないものになってしまうかもしれません。ですので売主の了解が得られるのであれば、カメラやスマートフォンで撮影をさせてもらい、記録として残しておくことをおすすめします。内見を終えて、複数の物件から購入を比較検討する場合、写真で思い返す事で購入の選択を確実なものにしてくれるはずです。
・建物の傾きをチェックする水平器
「購入した建物が傾いていた!」といったような事態は絶対に避けたいこと。専門家なら直ぐに分かりますが、内見で初めて中古住宅を見学する場合、気づかないこともあるようです。ある程度築年数が経過していれば、いわゆる多少の傾きというのは出てくるものです。しかしその傾きが地盤によるものなのか、構造によるものなのか、単なる床のたわみなのかを素人が判断するのはとても難しいものです。ある程度の許容範囲を国土交通省が発表しているので、心配でしたらそれを参照してみてください。自身でチェックするなら水平器が必要ですが、スマホアプリもありますので、内見に出かける前にダウンロードしておくとよいでしょう。
④ローンの事前審査と総コストの試算
中古住宅を購入する際、多くの場合住宅ローンを利用することになります。ローンの事前審査を理解して用意しておくことは、「購入の意思表示」として重要な意味を持ちます。どれくらいの額が借り入れ可能か、月々の返済額はどの程度になるのかなど、家計状況に合った計画を立てるにはこの事前審査が大切な手がかりになります。場合によっては、内見の際に事前審査の結果を提示することで、売主や不動産会社(エージェント)側に真剣に購入を検討している姿勢をアピールすることができます。このように住宅ローンの事前審査をしっかりと理解することで、スムーズな住宅購入のための準備を進めることができるのです。
◎備考 住宅ローン事前審査に必要なもの
・運転免許証
・健康保険証
・源泉徴収票(市県民税決定通知書など)
・印鑑
住宅の購入計画を実現させるには、住宅ローンを含めた正確な費用試算としっかりとした予算管理が欠かせません。物件によっては予想していなかった出費が発生することもあります。そのためには、計画の初期段階から、経費削減や資金調達をどうするのか明確にし、余裕を持った予算計画を組むべきでしょう。
・リフォームする場合は詳細な見積もりを
物件購入と同時にリフォームを計画する場合、どこをどのようにリフォームするか現場調査を徹底し、詳細なチェックリストを作成することが重要です。予想外の費用が後から発生しないように素材の選定や作業範囲を明確化し、施工業者に正確に伝えて詳細の見積もりを取りましょう。また、見積もり金額や住宅ローンの組み方やそのこ後の生活設計にも大きく影響します。しっかりと見積もりチェックも行ない、将来的な経済負担を可能な限り最小限に抑え、希望通りのリフォームを成功させたいものです。
・購入の総コストと長期的な費用計画を
誰しも住宅の購入は人生で最大の出費の一つです。ですので購入費用だけでなく、長期にわたる維持管理費用まで考慮した総コスト計算をしっかりしておくべきです。購入費用、登記費用、管理費・修繕積立金(マンションの場合)といった直接的な費用だけではなく、税金、維持管理などの潜在的なランニングコストまで考慮して、長期的な視点で費用計画を立てることが重要です。自身で組み立てがよくわからない場合はFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談してみましょう。
・諸経費と税金の確認
資金計画で見落としがちなのが、諸経費と税金です。これらは不動産売買において一定の金額を占め、見落とすと予算オーバーになってしまう恐れがあります。購入時は印紙税や登録免許税、物件取得時には不動産取得税がかかり、さらには毎年の固定資産税や都市計画税などが毎年継続してかかります。これらの税金や経費は住まいの地域や物件の種別、評価額によっても異なるため、事前の確認と正確な計算が必要です。適切な事前調査と司法書士や税理士などのプロフェッショナルのアドバイスをもとに、資金計画の精度を上げていくことが、安心して住まいを手に入れるためのカギとなります。
まとめ
中古住宅の内見は単なる見学以上のものであり、自分や家族の将来の生活を想像し、賢明な判断を下すための重要な機会です。ボーっと見てたら、チコちゃんに叱られるかも(笑)。
このコラムでは中古住宅の内見における事前準備の重要性と、成功への道を見つけるための有益な情報を提供してきましたが、いかがでしたしょうか。中古住宅を購入する際の判断に自信を持つことができるようになりましたか?
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