コラム

2024-01-26 17:15:00

家をスムーズに売るには?<初めての家の売却について>

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諸事情により、いざ「家を売ろう!」と思い立っても、「何をどう始めたらいいのか分からない」という方がほとんどではないでしょうか。家の売却は一生に一度あるかないかの経験だと思いますし、そういう意味では「家の売却の初心者」というわけです。今回のコラムでは、ストレスなくスムーズに後悔しない売却をするために、不動産エージェント的視点で解説していきます。

そもそも「家の購入」に関しては不動産会社(エージェント)の様々なサポートがありますが、「家の売却」には、売主自らが情報を集めたり資料を取り揃えたりという「準備」段階から取り組まなくてはなりません。これが「家の売却の初心者」が戸惑ってしまう大きな原因なのです。

ここでは初めての家の売却でチェックしておくべき9つのステップをご紹介します。家の売却を成功させるための「基礎知識」と思っていただき、大事なポイントをつかんでおきましょう。

 

「家を売る流れ」の全体像を把握しよう

家の売却では、まず最初に「家を売る全体の流れ9ステップ」を把握しておくことからスタートしましょう。

<目次>

◎売却準備

①自分で売却相場を調べる

②不動産査定を依頼する

③訪問査定で不動産会社(エージェント)と面談する

④不動産会社(エージェント)と媒介契約を締結する

◎売却活動

⑤売却活動を開始する

⑥内覧対応をする

◎売買契約・決裁・引渡

⑦売買契約を結ぶ

⑧決済と物件の引き渡し

⑨確定申告をする

 

ではそれぞれのステップごとに少し詳しくご説明します。難しいと思われる箇所は飛ばしていただいてもOKです。分からない箇所は不動産会社の担当・エージェントに聞けば教えてくれます。

◎売却準備

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①自分で売却相場を調べる

不動産会社(エージェント)に相談する前に、まずは自分で家の売却相場を調べてみましょう。家の売却を成功させるためには、適正価格で売り出すということが大前提になります。適正価格を知るためには、まずは自分自身で相場を調べることをおすすめします。相場を知っておくことで、不動産会社(エージェント)に査定依頼をした際に、適切な売却価格を提示している不動産会社(信頼できる)かどうかを判断することができるからです。

家の相場は、次の2つの不動産情報サイトでチェックできます。

■レインズマーケットインフォメーション

まず一番のおすすめサイトは、「レインズマーケットインフォメーション」です。国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理していて、全国ほとんどの不動産会社(エージェント)でレインズ(REINS=Real Estate Information Network Dydtem)のシステムが不動産売却に活用されています。レインズマーケットインフォメーションは、レインズの情報の一部を一般人でも見られますし、すでに成約した物件情報も掲載していますので、実際の「売却金額」を知ることができます。

■土地総合情報システム

もう一つの相場を調べるおすすめサイトは、「土地総合情報システム」です。国土交通省が運営しているサイトで、実際に行われた取引価格や地価公示、都道府県地価調査の価格を掲載しています。

レインズマーケットインフォメーションと土地総合情報システム、この両方をみれば大体の相場を把握できます。

 

②③不動産査定を依頼する

自分である程度の家の相場を調べたら、不動産会社(エージェント)に査定を依頼しましょう。不動産査定には、以下の2種類の方法があります。

A.机上査定(簡易査定)

・算出方法:築年数・面積・所在地などのデータから算出

・メリット:手軽に依頼が出来て、数日で査定結果がわかる

・デメリット:概算なため、実際の売却価格は下がる可能性がある

机上査定(簡易査定)とは、不動産会社(エージェント)のスタッフは実際に訪問はせずに、その家の築年数や、面積などの物件情報やデータをもとに、だいたいの査定金額を算出する方法です。実際の物件を見て算出するわけではないため、立地条件や土地の形状、経年劣化の状態などによっては実際の査定金額とずれることもあります。まず、不動産売却を検討する際に、ある程度の目安をつかむために最初に行うのが机上査定(簡易査定)です。

B.訪問査定

・算出方法:簡易査定データの他に実際の物件を見て算出

・メリット:査定価格が売却価格に近く、アドバイスも受けられる

・デメリット:訪問対応が必要なので、時間と手間がかかる

訪問査定とは、不動産会社(エージェント)のスタッフが実際に物件を見てから査定額を算出するため、より現実に近い査定額が期待できます。また、不動産会社(エージェント)のプロによる、売却に関するアドバイスを受けることもできます。実際に対面で担当者の応対を見ることができるので、不動産会社(エージェント)選びにも役に立ちます。

 

④不動産会社(エージェント)と媒介契約を締結する

不動産の売却には、大きく分けて仲介と買取の2種類があります。仲介は、不動産会社(エージェント)に買主を探してもらい、買取は不動産会社に直接買い取ってもらうことになります。媒介契約とは、この売却方法のうち「仲介」をしてもらう際に取り交わす契約のことを言います。

※不動産会社(エージェント)を通さない個人売買も可能です。仲介手数料は発生せず、また、自分の希望価格で買主を探すことができます。ただし、家をスムーズに売るための専門的な知識や資格が必要となるため、個人売買は不動産売却の初心者にとっては難しい方法といえます。家を売るのが初めての方は、不動産会社(エージェント)に売却依頼した方が賢明といえるでしょう。

◎不動産会社との媒介契約は、3種類あります。

・一般媒介契約

・専任媒介契約

・専属専任媒介契約

一般媒介契約と専任媒介契約・専属専任媒介契約の最も大きな違いは、他の不動産会社に重ねて依頼(契約)できるかどうかという点です。専任媒介契約・専属専任媒介契約を締結すると、一社にしか仲介の依頼(契約)をすることができません。一方で、一般媒介契約では、複数の不動産会社に同時に仲介を依頼(契約)することが可能です。

◎専任媒介契約・専属専任媒介契約と一般媒介契約の違い

それぞれにメリット・デメリットがあり、どの媒介契約が一番いいのかはケースバイケースでその時の状況によっても変わります。それぞれの特徴、メリット・デメリットについては以下の表を参考にしてください。

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◎一般媒介契約

メリット

・複数の不動産会社(エージェント)に依頼できる

・購入希望者を多く早く集めやすい

・競争意識で営業活動が活発になる

デメリット

・売却できる確定がなく積極的な売却活動を期待できないこともある

・仲介手数料を値引きしにくい

・レインズ登録しない場合、物件情報拡散しづらい

一般媒介契約とは、複数の不動産会社(エージェント)と同時に契約を結ぶことができる媒介契約方法です。自分で見つけた買主と不動産会社(エージェント)を介さずに直接取引も可能です。3つの媒介契約の中で一番自由度は高いものの、不動産会社(エージェント)への拘束力は一番弱い契約形態です。

・専任媒介契約

メリット

・専任なので積極的な販売活動期待できる

・販売状況の報告がある

・販売状況の報告がある

デメリット

・1社のみの契約なので力量で左右される

・売主が自分で買主を見つけることもできるが、媒介契約履行費用は発生する

専任媒介契約とは、1つの不動産会社(エージェント)と媒介契約を結びます。契約期間中(3カ月間)は、ほかの不動産会社(エージェント)と契約を結ぶことはできません。専任媒介契約と専属専任媒介契約の一番の違いは、売主が直接買主を見つけて直接取引できるか、できないかが大きな違いです。他には差異はそれほどなく、売主への報告義務の頻度やレインズへの登録日数の違いだけで、契約内容はほぼ一緒です。

・専属専任媒介契約

メリット

・積極的な販売活動期待できる

・3つの中で一番報告頻度が多く状況把握しやすい

・仲介手数料の値引きに応じやすい

デメリット

・1社のみの契約で力量に左右される

・売主が自分で買主を見つけることはできない

専属専任媒介契約とは、専任媒介契約と同様に、1つの不動産会社(エージェント)と媒介契約を結びます。3つの媒介契約の中で、一番縛りが多い契約と言えます。反面、売却に成功すれば必ず成功報酬が入るため、不動産会社(エージェント)の積極的な売却活動を期待できるメリットがあります。

◎媒介契約を選ぶポイント

3種類ある媒介契約に迷った場合は、目的別に選んでみましょう。以下のような場合は、専属専任媒介契約・専任媒介契約がおすすめです。

◎専属専任・専任媒介契約向き

・売却を急いでいる

・売れなかった時は不動産会社(エージェント)に買取を依頼したい

・相性の合う信頼できる不動産会社(営業マン・エージェント)に出会いたい

以下のような場合は、一般媒介契約がおすすめです。

◎一般媒介契約向き

・人気のあるエリアの物件である

・知人や近所に知られたくない(レインズに登録されたくない)

 

依頼(契約)する不動産会社(エージェント)が決まったら、いよいよ販売活動が始まります。

⑤売却活動を開始する

◎家を売るタイミング

売却活動は、2~3月頃に売却が決まるようなタイミングで始めるのが理想です。不動産の売却は、物件にもよりますが最低でも3ヶ月程度かかりますので、遅くても12月上旬までに売却活動を始め、3月上旬までには売りたいところです。買主が購入後にリフォームする場合もありますので、買主が入居するまでの時間も考慮するとよいでしょう。

日本では、4月が新学期や入社・転勤等で新生活をスタートする方が1年を通して一番多く、3月が最も住宅の購入需要が高まる時期です。また3月は必要に迫られて購入する人が多く、中古住宅市場も活況を迎えます。家を売却するのであれば、3月のタイミングを逃さず売却するのがベストと言えます。

では、実際に「売却活動」は何をするのかを見ていきましょう。

◎売却活動

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◎広告を出す

まず、インターネット上や店頭の広告に物件情報を掲載します。他にも、チラシの折込やポスティングなど、物件情報をより多くの人に拡散できるように売却活動を行います。もし、ご近所に家の売却を知られたくないなどの事情がある場合は、不動産会社(エージェント)に相談してみましょう。インターネット上では難しですが、そのエリアには広告を出さないなどの配慮をお願いできることもできます。

広告等で購入希望者が現れたら家を見てもらいますが、物件の印象を少しでも良くするために押さえたいポイントを紹介します。

⑥内覧対応をする

チラシ等の広告を見て物件に興味を持ってくれた人は、「物件を見たい」という要望を不動産会社(エージェント)に連絡します。中古住宅は数千万円もする大きな買物であるため、チラシ等の広告だけで購入を決めるということはまずありません。ですので売主は購入希望者に物件を見せることが必須になります。

購入希望者が物件を見に来ることを業界では「内覧」と言います。特に、居住しながら物件を売る人は、不動産会社(エージェント)とともに売主が内覧対応をすることが通常です。買い先行のような場合で、既に引越をしている場合には、鍵を不動産会社(エージェント)に渡して、不動産会社(エージェント)だけに内覧対応をしてもらうこともあります。内覧での家の印象が、その後の購入意思決定に大きな影響を与えます。内覧では、とにかく家をきれいに、モノを少なくすることが大切です。

◎家を整理する

家の片付けは時間と手間もかかりますので、売却を決めたら少しずつ掃除をすることをおすすめします。どうしてもモノが多くて整理に困る時は、一時的にトランクルームや実家に預けたりするとよいでしょう。

また、モノを捨てた後は見栄えをよくするために、ハウスクリーニングを依頼するのも手です。購入希望者は、ご夫婦でいらっしゃることが多く、奥様は特にキッチンをよくチェックされます。ハウスクリーニングを使って、キッチンやバス、トイレ、洗面所と言った水回りは重点的にきれいにすると印象がよくなります。

◎家を売る理由を考えておく

内覧では、購入希望者に売却理由を聞かれることがあります。もし、あなたの家を売る理由が、「物件のココが気に入らない」というネガティブなものであれば要注意です。その場合、売却理由は別の表現方法を考えておく必要があります。

よくあるのが、交通量の多い道路際に建っているマンションの場合です。家族の誰かが喘息になってしまったから売却する、というようなケースで「子供が排気ガスのせいで喘息になったので売却します」と説明してしまうと、売却がなかなか困難になります。購入希望者も前面道路の交通量はとても気にします。物件のネガティブな部分には、買主が暮らしやすくなるように、日々の工夫を「対処法」として伝えてみてください。例えば、「洗濯物は中で干した方が良いですよ」とか、「16:00以降は交通量が増えるので窓は閉めた方が良いですよ」等々の前居住者ならではの役立つ対処法です。なお、購入希望者が納得しやすい売却理由や対処法については、不動産会社(エージェント)もたくさん知っていますので、迷った場合は不動産会社(エージェント)にアドバイスをもらいましょう。

◎内覧当日の対応

内覧当日は、購入希望者を「お客様としておもてなしする」心構えを持っておきましょう。購入希望者が来る前には、窓を開けて部屋の空気を入れ替えておき、部屋の電気を付けておきます。内覧では、人数分のスリッパは必ず用意してください。

また、売主のご主人が一緒でも奥様が主に対応しましょう。奥様であれば、その地域の食品スーパーや病院、習い事の教室や学習塾等の評判も良くご存知ですので、購入希望者の奥様に地域のお役立ち情報を提供すれば、心象が良くなります。

どんなに完璧と思われる内覧応対をしても、購入希望者は自分たちが求める条件に合わなければ、購入はしてくれません。内覧対応をして次々に断られると、気持ちが落ち込むこともあります。内覧対応は、一喜一憂せず、余裕をもって、冷静にこなす感覚で対応しましょう。

 

◎売買契約・決済・引渡

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内覧した購入希望者が購入を決めたら「売買契約」を結んで引き渡しへと進みます。

⑦売買契約を結ぶ

買主が決まると、売買契約を結びます。不動産は売買契約と引き渡しの間に1ヶ月ほどの時間を設けます。売買契約では契約書の読み合わせと契約書への押印を行い、買主から手付金を受領します。手付金の相場は売買金額の10%が相場です。売買契約では、資格を持った不動産会社の担当やエージェントが買主に対して重要事項説明を行います。

不動産会社(エージェント)へ支払う仲介手数料は、売却が成功した際の成功報酬ですが、売主は、売買契約の時点で不動産会社に50%の仲介手数料を支払うのが一般的です。仲介手数料の残り50%分は、物件の引き渡し時に支払います。

 

1.仲介手数料について

売買で不動産会社に支払う手数料は、成功報酬です。仲介手数料は、法律で上限が定められています。

◎仲介手数料の上限額

売買金額 仲介手数料

・200万円以下 売買金額×5%(税別)

・200万円以上~400万円以下 売買金額×4%+2万円(税別)

・400万円以上 売買金額×3%+6万円(税別)

通常普通に住んでいるマイホームであれば、ほとんどの場合、取引金額は400万円超になります。そのため、仲介手数料は3%+6万円です。仲介手数料には消費税が別途発生しますので、(取引金額×3%+6万円)×1.10が仲介手数料の上限となります。

なお、仲介手数料の規定は、あくまでも「上限」です。この金額を払わなければならないものではありません。また仲介手数料は、売買契約時に50%、引き渡し時に50%を支払うのが一般的です。

 

2.契約不適合責任について(旧:瑕疵担保責任)

売主は、買主に対して「契約不適合責任」を負います。旧民法では「瑕疵(かし)担保責任」と呼ばれていましたが、民法が改正されて売主の責任がより大きくなりました。瑕疵とは、家が通常有すべき品質を欠くことを指します。ですので、売買契約では買主に対し、瑕疵を適切に伝えなければいけません。

売却後に契約内容にない瑕疵が見つかった場合は、損害賠償や契約解除などの対応が必要になる場合もあります。シロアリや雨漏りなど、簡単に見つからない隠れた瑕疵などは特に、嘘偽りなく伝えるようにしましょう。

◎契約不適合責任のポイント

・インスペクション(建物状況調査)を行い、住宅の瑕疵を明らかにする

・雨漏りやシロアリの被害、外壁のひび割れなどの瑕疵は事前に買主に伝えておく

・瑕疵を隠して売ったら、発覚した場合修繕や売買契約の解除を行わなくてはならない

・売却後、売主がいつまで契約不適合責任を負うべきか特約で明確にしておく

3.瑕疵担保保険について

売却後の修繕トラブルを防ぐために「瑕疵担保保険」があります。将来的に発覚するかもしれない瑕疵の修繕のために、自宅の修繕費とは別に貯蓄を行うのは大変です。瑕疵担保保険は、契約不適合責任における修繕費や調査費用、仮住まいへの引っ越し費用の一部をカバーしてくれる保険です。保険加入は義務ではありませんが、家の売却時に加入しておくと安心できます。

 

売買契約を結んだら、いよいよ物件の引き渡しになります。

⑧決済と物件の引き渡し

・引き渡し時に行うこと

売買契約を締結後、1ヶ月ほどで引き渡しを行いますが、売主は引き渡しまでに引越を済ませておかなければなりません。引き渡しでは買主は残金の入金、売主は鍵の引き渡しを行います。抵当権が付いていれば、残金の入金をもって抵当権の抹消を行います。同時に、買主が住宅ローンを組む場合は、買主側でローンの実行を行います。

・引き渡し時に司法書士が行うこと

引き渡しでは司法書士が立ち会います。司法書士は引き渡し後、すぐに抵当権抹消と、所有権移転、新たな抵当権設定の登記の全て行うことになります。また、引き渡しでは、固定資産税及び都市計画税(以下、「固定資産税等」)の精算も行わなくてはなりません。

・お金の清算について

固定資産税等は、毎年1月1日時点の所有者に対して1年分の固定資産税等が課されます。例えば、売主Aが1月1日の所有者で、7月1日に買主Bへ引き渡しを行ったとしても、その年の納税義務者はAになります。そこで、買主Bから売主Aへ7月1日以降の固定資産税等を支払うことで、7月1日以降の固定資産税等を実質、買主Bの負担とします。これを固定資産税の精算と呼びます。

引き渡しでは、残金入金以外にも、このような精算といったお金のやり取りも発生します。そのお金のやり取りの中で、仲介手数料の残金50%も引き渡し時に支払います。

 

引き渡しも無事終わったら、最後は売却したときの税金と確定申告についてです。

9.確定申告をする

不動産を売却したとき、以下の関係式で表される譲渡所得がプラスであれば、所得税が発生します。

◎譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用

譲渡価額とは売却額のことで、取得費とは購入価額のこです。但し、建物に関しては減価償却後の価額になります。譲渡費用は仲介手数料等の売却に要した費用です。

一般的に、住宅は経年とともに価値が下がりますので、譲渡所得はマイナスとなるケースが多いです。譲渡所得がマイナスであれば、税金は発生しません。

一方で、譲渡所得がプラスになっても、「3,000万円特別控除」と呼ばれる特例を用いると、譲渡所得がマイナスか、もしくはプラスになっても少額になります。

◎3,000万円特別控除を適用すると、譲渡所得は以下の式で計算されます。

◎譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用-3,000万円

マイホームが購入当初から3,000万円以上も値上がりすることは滅多にありません。そのため、3,000万円特別控除を適用すれば、ほとんどの方が3,000万円特別控除を適用すると税金を支払わなくても済むことになります。但し、3,000万円特別控除を適用するためには、確定申告が必要です。この場合の確定申告は税金を払うためではなく、この特例を使って税金を払わなくするために行うものです。

※別荘の売却においては、3,000万円特別控除の優遇措置はありません。

 

まとめ

いかがでしたか?家をスムーズに売る方法、ご理解ただけたでしょうか?家を売る全体の流れの中でも特に不動産会社(エージェント)選びはとても重要です。査定価格を高く出した不動産会社(エージェント)がその価格で売却できるとは限らず、売買契約を取りたいがために相場より高い査定価格を提示するケースもるようです。

例えば、個人情報を出さないでできる「匿名査定」サイトなどで相場感を掴んで、まずは複数社(3社ほど)に訪問査定してもらい、依頼する不動産会社(エージェント)見極めるところからスタートしましょう。

家の売却にかかる期間は、うまくいってもだいたいマンションで3か月程度、一戸建てで3~6カ月ほどかかると言われています。売却時期を想定して余裕をもって早めに売却活動に望みたいものです。

◎不動産売却のご相談は宅建士エージェントへお気軽にお問合せください。

✉️https://fukuokarealestateagent.com/contact

 

 

2024-01-17 15:11:00

住みやすい街を見つけよう!

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大学や専門学校の入学、新社会人での入社、あるいは転勤・転職などで、住まれ育った街や住み慣れた街から引っ越すときって、ちょっと寂しいけど、ワクワクしますよね。引っ越し前に、知らない街でアパートや賃貸マンションを探していると新生活に期待も膨らみます。ところが、いざ引っ越して住みはじめてみると、なんだか思っていたところと違う、住みにくい!などということもあります。このように、住みたかったイメージのところとミスマッチがないように、「住んで良かった!」と思える街に住みたいところです。

例えば、

独身なら駅やバス停から近いかな、コンビニはあるかなとか、

新婚や共働きなら、スーパーは?ごはん屋さんは?居酒屋さんは?

ファミリーなら、幼稚園・保育園、学校区はどうなの?

定年退職前後は、郊外の一戸建てを売って街中のマンションに引っ越す

シニアなら、住まいを売ってシニアマンションや施設に引っ越す 

などなど、それぞれの年代で街に求める条件も違ってきます。では「福岡の不動産・住まいのエージェント」的にみた「世帯別に住みやすい街の条件」をざっくりチェックしてみましょう。

 

◎独身一人暮らしが住みやすい街

・駅、バス停が近い(通勤・通学時間が短い)

・家賃がリーズナブル

・安くて美味しいごはん屋さんがある

・コンビニや夜遅くまで営業しているスーパーがある

独身一人暮らしの場合は収入が一般的に少ないので、支出の多くを占める家賃を抑えて毎日の生活に必要な利便性を確保できる街がおすすめです。また、アルバイトや仕事帰りにも利用できるコンビニや夜遅くまで営業しているスーパーが近くにあると、飲み会や残業で遅くなっても買い物をしてから帰れるので便利ですね。

 

◎単身女性が住みやすい街

・駅やバス停から近い

・治安が良い

 ※現地でできる治安のチェック方法↓

 駅やバス停からの夜間の人通り

 街灯は多いか、明るいか

 いつも使う道の見通しが良いか

 繁華街や深夜営業の店舗などは無いか

 交番や警察署が近くにあるか

 注意喚起看板などがないか などです。

・犯罪の温床となる場所がない

通勤・通学路や家の近くに深夜営業の店が多い歓楽街があったり、街灯がなかったりすると、夜間の一人歩きが不安に感じます。また、周辺に塀で囲まれた死角や空き家・空き地など犯罪の温床になるような場所がないかも確認しましょう。

また、地域性の面から住民のマナーも確認しておきたいポイントです。例えば、夜間のコンビニの駐車場が若者のたまり場になっていないかなど、マナーが悪い人がいる街は避けた方が無難でしょう。

 

◎新婚夫婦が住みやすい街

・カフェやショップ、公園など、おしゃれな場所が近くにある

・同世代のカップルが多い

・休日にリラックスできるスポットが多い

新婚夫婦が快適に暮らせる街の条件の1つは、同世代が集まるおしゃれなスポットが近くにあることです。地元の人がやっているカフェやレストラン、カジュアルなファッションモールや公園などが近くにあると、休日に2人で外出する機会も多くなり、一緒に過ごす楽しい時間が増えることでしょう。同じ年代が多い街なら知り合いや友人もできやすく、家族が増えても長く住み続けられるかもしれません。

 

◎共働き世帯が住みやすい街

・駅やバス停から近い

・役所や病院等の公共施設が近い

・スーパーの営業時間や品揃えが良い

夫婦お互い忙しく生活しているので「タイパ」がいいか、が街選びのポイントとなります。帰宅時間が遅く不規則な家庭なら、スーパーの営業時間や品揃えもチェックしたいポイントです。商店街などお店が多い街でも帰宅する時間に営業していなければ、買い物できないですからね。

欲張りですが、惣菜が充実しているスーパーがあれば食事の準備も手軽に済ませられるので、平日の夕食づくりの家事負担の軽減にもなり、その分夫婦の時間が増えて会話も弾む(?!)かも。。

 

◎子育て世帯が住みやすい街

・子どもがよく利用する施設が多い

・夜間対応や緊急対応をしている病院がある

・託児施設が近くにある(待機児童がいない)

・自治体の子育て支援制度が整っている

就学前の子どもがいる家庭なら、託児施設が近くにあるか、また、待機児童がいないかなどの点は気になるところ。近くに託児施設があれば、施設の開園時間は確認しておきましょう。幼稚園や保育所、学校や病院など、子どもがよく利用する施設の多さは街選びの大きなポイントです。子どもが遊べる公園や児童館などがあるとなお良いでしょう。

注意点は、このような施設が近くにあっても行くまでに交通量の多い幹線道路などがあると不安要素になります。通学路の安全は重要ポイントです。また交番や警察署などの場所は確認しておきましょう。

自治体によっては医療費の助成や育児サービスなど、子育て支援に力を入れているところもあります。このような行政の街は育児負担の軽減につながりますので、ぜひチェックしたいところです。

 

◎シニア世代の夫婦が住みやすい街

・車の免許を返上しても生活しやすい

・シニア世代同士集えるコミュニティ(場所)がある

・医療機関と福祉施設が充実している

近い将来車を運転できなくなっても生活しやすい街が、シニア世代の街選びの大きなポイントです。アップダウンの坂が少なく平坦な土地で、徒歩圏内に病院やスーパー、商店街などがあるとゆとりをもって安心して暮らせます。

医療機関と福祉施設はその地域特性によって特色があります。例えば、子育て世帯が多い街には小児科や歯科などが多い傾向にあるため、シニア世代が必要な施設があまりないこともあります。介護サービス施設が多く存在する街や介護や医療の助成金が充実している行政の街、評判のいい病院が近くにある街を選ぶことを心がけましょう。

 

賃貸なら、年代や家族構成に応じて比較的簡単に住み替えができますが、マンションや戸建の持ち家の場合、そう簡単に引っ越しはできませんよね。オリエンテーリングと同じ要領で、その街に詳しい不動産会社のスタッフやエージェントと一緒にチェックポイントを押さえながら、住みたい街をしっかり探してみましょう。

 

SHERPA不動産エージェントでは、お住まい探しのご相談も承っております。どうぞご遠慮なくお問合せください。ご一緒に「住みたい街」「住みたい家」探しをお手伝いさせていただきます。

◎お問合せ https://fukuokarealestateagent.com/contact

2024-01-12 10:53:00

実際中古マンションはいくらで売れるの?

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よく「売却マンション募集!」とか「無料査定!」という不動産会社のチラシがポスティングされていますが、今売るつもりがなくても、チラっと「今住んでるマンション、実際いくらくらいで売れるのかな?」と思った方も多いのではないでしょうか。ちなみに不動産会社(エージェント)に「査定」を依頼する場合、どのような根拠で査定価格が出てくるのか少し紹介します。

◎査定価格とは

不動産売買の取引では法的にも適正な契約の下、売買価格が売主・買主双方が納得するものであることが第一です。不動産にはいわゆる「定価」と言われるものがありません。しかし売買をする上で市場流通的に「適正な価格」があるはずです。その「適正価格でスムーズに売却すること」こそ不動産売買に一番求められることなのです。しかし、適正価格が分からず相場より安く売ってしまったり、逆に高い価格のためになかなか売却できないなどの失敗例もあるようです。不動産取引を成功させるためにも、相場感を掴んでおくことはとても大事で、査定価格に対しての不動産会社(エージェント)の査定根拠※はきちんと確認しておきたいところです。

※宅地建物取引業法では“価格提示の際にはその根拠を明らかにしなければならない”ことになっています。

(同法34条の2第2項 http://www.tokagekyo.net/echo_t3/gyouhou-34-2.html

 

◎不動産売買の4つの価格とは

①希望価格 

売主の「これくらいで売れたらうれしいな」的な価格。だいたい相場より高めになることが多い。

②査定(助言)価格 

不動産会社(エージェント)が相場感や現地調査等を元に算出した価格。算出の方法としては取引事例比較法が一般的。結局この価格で売れることが多い。※中には売買契約を取りたいがために相場を無視した「高額査定」をする不動産会社もあると聞きますので、複数社に査定依頼した方が賢明です。

③売出価格

売主の希望価格と不動産会社(エージェント)の査定(助言)価格をすり合わせ、価格を再設定し媒介契約を結び不動産を売り出す価格。

④成約価格

売主と買主との条件が折り合い売買契約が成立した時の価格。

※売出価格から成約価格に至るまでには、売主(高く売りたい)買主(安く買いたい)双方の条件の調整を不動産会社(エージェント)が行い、双方が歩み寄りながら契約まで話を進めることになります。

 

◎実際の成約事例を見てみよう

ちなみにレインズ(指定流通機構)で昨年2023年に成約になった中古マンションのデータを調べてみました。

事例:福岡市西区愛宕浜2丁目 2023年成約マンション(15戸)データより独自作成

    築年数   戸数 平均成約価格 平均成約坪単価 平均専有面積 平均間取り

1995年(築29年)1戸  3,890万円     125.3万円    102.63㎡  4SLDK

1996年(築28年)4戸  2,495万円   109.25万円    75.24㎡  3LDK

1997年(築27年)5戸  2,900万円   115.8万円    82.42㎡  3LDK

2006年(築18年)5戸  4,132万円   142.58万円    97.17㎡  3~4LDK

※レインズに掲載されていない物件もあると思いますが、ざっくりご参考ください。

 

いかがでしょうか?意外と高いな、と思われましたか?安いと思われましたか?リフォーム物件かまたは階高や角部屋等戸別で多少の価格差はあるにせよ、だいたい相場感はお分かりだと思います。1990年代中頃にマンションを買って30年ローンを組んだ方ならそろそろ完済する時期ですよね。場合によっては繰り上げ返済してローン残債はないよー、という方もいらっしゃるでしょう。定年退職前後になると、終の棲家として住み続けるか、買い替えして第2の人生に踏み出すか等々、思い悩まれる方もいらっしゃるでしょう。

SHERPA不動産エージェントでは、売却しようかどうかお悩みの方のご相談も承っております。どうぞご遠慮なくお問合せください。とりあえず査定のみのご相談でもOKです。

◎お問合せ https://fukuokarealestateagent.com/contact

※買取やリバースモーゲージの場合は、仲介の査定価格を下回るケースがほとんどですが、売却を急ぎたい、事情があってまとまった資金が必要という方は検討されてもいいかもしれません。

2024-01-10 09:24:00

住みたい街選びのポイント

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2024年日本は甚大な災害や事故で年明けを迎えました。被災された皆様方には心よりお見舞い申し上げますと共に、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。人智を尽くして早期の復興と事故防止対策が講じられることを切に願います。

さて、皆さまお正月はいかが過ごされたでしょうか?実家や祖父母の家でゆっくり過ごされた方も多いでしょう。この春から新入学、進級、就職、結婚等々、新しい人生に踏み出すにあたって、親兄弟や親族からいろんなアドバイスを受けた方もいらっしゃるのでは。

そこで今年最初のコラムは“福岡の不動産・住まいエージェントが考える「住みたい街選びのポイント」”についてです。

「住みたい街=憧れのエリア」と思われる方が多いと思いますが、まずは、ただ「憧れ」だけで選んでいいのか、ということです。家族構成やライフスタイル、世帯年収や世代によって重視することは異なると思いますので、今回は住みたい街を選ぶ時に必ずチェックしておきたい6つの基本ポイントをご紹介します。

 

①「交通の利便性」

通勤や通学に欠かせない公共交通機関ですが、駅近か?ということだけでなく、時間帯ごとの本数や始発、終電、乗り換えなど、車通勤でしたら勤務先までのルートや混雑の具合などもぜひチェックしておきたいところです。どんなに憧れの街でも、通勤・通学に苦労するところには無理して住まない方が賢明ですし、毎日のことですから交通の利便性はいいに越したことはありません。セカンドハウスや別荘として憧れの街に住む、というのはアリかもしれませんが。

 

②「生活利便性」

コンビニやスーパー、商店街、飲食店、役所や病院、銀行などが近所にあるか、また店休日や営業時間などもチェックしておきましょう。個人的には、近所に焼き鳥屋さんか居酒屋さんがあったら嬉しいです。新興の住宅地では住宅とバス停以外何もない!というところもありますからね。ココ、お父さんにとっては大事なポイントです。最近はママ会も盛んなようなので、お母さんにとっても大切なことかもしれません。

 

③「住まいの快適性」

交通利便性や生活利便性に優れている場所は、別の面からみると、人の話し声や車の音などが気になることがありますし、高い建物が隣接している場合は、日当たりや風通しに難があることもあります。また、これは意外な感じがするかもしれませんが、「なんとなくこの街いい感じかも」とピンとくる第一印象も、実は大事なんです。「住む場所との相性の良し悪し」も住み心地に少なからず影響を与えますから、気に掛けておくと、より快適に暮らせる場所にめぐり合う可能性が高まるかもしれません。自分や家族と街の雰囲気が合っているというのも大事なポイントなのです。

 

④「街の安全性」

犯罪の発生率の問題だけでなく、商店街や住宅地の街灯など夜間でも心配せずに歩ける環境かなどもチェックしておきたいところ。そして地震や水害などの自然災害に対しての安全性も忘れてはいけません。以前このブログでも書きましたが、行政のハザードマップなどで事前に確認できますので、ぜひチェックしてみてください。長くその場所で生活するのですから、安全性はとても重要なポイントになります。住んでしまったらそう簡単には引っ越せないですからね。

 

⑤「子育てしやすい環境」

子育て世代の最大の関心事といえば、子育てしやすい環境かどうかということ。保育園や幼稚園の託児施設が充実しているか、子どもを安心して遊ばせることのできる公園はあるか、は必須のチェックポイントですが、小学校や中学校の校区も確認した方がいいでしょう。教育熱心な方なら、とても気になるところだと思います。私の知り合いでも、校区を選んで引っ越した家族がいました(お父さん、お母さん、大変なんです)。

 

⑥「将来性や資産性」

エリアによっては、購入時から資産価値が大きく下がってしまう場合もあります。周辺の家賃や中古住宅の価格相場などはネットでも調べられるので、チェックしておいた方がいいでしょう。何らかの理由で引っ越して売却したりするときに資産価値が下がらないことは重要です。資産性が高ければ、例えば売却せずに賃貸に出して、収益物件として活用することもできます。また、周辺の再開発や宅地開発によって資産価値も上がったりすることもありますので、自治体のホームページなどでチェックしておくとよいでしょう。

 

以上が街選びでチェックしておきたい6つの基本ポイントです。

単なる憧れのエリアということだけじゃなくて、自分の目でしっかりリサーチ・確認して、街に関するいろんな情報をチェックすることが住みたい街選びのコツといえるでしょう。

補足ですが、福岡市及び近郊で一般的に人気のエリアをあげるなら、ビッグターミナル駅の博多駅エリアや天神駅エリア、地下鉄天神駅までのアクセスも良い大濠公園駅・西新駅・藤崎駅エリア、西鉄大牟田線の特急の停車駅で都心へのアクセスも良い大橋駅エリアあたり、でしょうか。再開発された六本松や千早はファミリー層に、天神に程近い薬院エリアは若い人に人気のようです。街に何を求めるかにもよりますが、上記のエリアは確かにそれぞれに魅力的な街だと思います。

 

ちなみに、子育てエリアが多く存在するというのも福岡のいいところで、福岡市は政令指定都市の中で10代・20代の若い世代の割合が最も高く(22.08%※令和2年国勢調査より福岡市データ作成)、子育て世代に寄り添った支援やサービスが充実しています。例えば、博物館や図書館などの教育施設が整っていたり、地下鉄車両にベビーカーや車いすの優先スペースが表示されたのも福岡が全国初なんです。

特に子育て世帯には、市内では姪浜・六本松・香椎浜、郊外だと春日市・大野城市などが人気です。福岡はコンパクトシティながら世帯構成やライフスタイルによって住むエリアを選べるというのも、住みやすさのポテンシャルがそもそも高いということでしょう。

 

ざっくりまとめると、福岡は全国でも住みやすい街として人気ですし、福岡市内及び近郊でしたらどこに住んでも「住めば都」と言えるのではないでしょうか。福岡、よいとこ!

※今回のコラムに取り上げたエリアは、個人的な独断も含みます。ご了承ください。

2023-12-27 08:45:00

不動産売買にかかる仲介手数料とは?

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中古マンションや中古戸建あるいは土地等の売買は、不動産会社(エージェント)に仲介(媒介)を依頼することから始まります。まずは不動産会社(エージェント)と媒介契約を結ぶことで、不動産会社は売買先を探す営業活動を開始し、この活動に対する成果報酬として、仲介手数料が発生します。この媒介契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があり、売主はどの媒介契約を結ぶかを選択することができます。※それぞれの媒介契約の詳細についてはまた後日ご紹介します。

◎仲介手数料には上限がある

不動産売買の仲介手数料がいくらかかるのか、相場はあるのかなど気になる人は多いでしょう。仲介手数料に関するトラブルを未然に防ぐためにも、仲介手数料については理解が必要です。

まずは、不動産会社(エージェント)が受け取る仲介手数料には、宅地建物取引業法により定められた上限額がある、ということです。不動産会社(エージェント)がこの上限額を超える仲介手数料を請求した場合は法令違反となります。しかし、法令で定められているのはあくまでも上限額で、下限額については設定されていませんので、上限額以内であれば不動産会社(エージェント)がケースバイケースで自由に決められます。

◎営業活動に対する成功報酬

不動産会社(エージェント)と媒介契約を結ぶと、不動産会社の担当(若しくはエージェント)は売買のためにさまざまな営業活動を行います。例えば、不動産情報サイトに物件情報を掲載したり、チラシを新聞折込したりポスティングをしたりする他、購入検討者の物件見学に立ち会ったりなどの販売活動も行います。

この営業活動の報酬は、前述したように売買が成立したうえで支払われる「成功報酬」となっています。ですので、物件の売却や購入の仲介を依頼したものの売買契約が成立しなかった場合、仲介手数料が請求されることはありません。

◎実際にいくらかかるのか?

皆さんがよく見るポスティングチラシ等には物件価格や管理費等の金額は掲載されていますが、この仲介手数料まで掲載しているチラシは皆無と言っていいでしょう(仲介手数料がかかります、と小さく表示しているところはまだ良心的かも)。不動産会社が「売主」の場合は仲介手数料はかかりませんが、物件情報の取引形態の項が「仲介」と表示されている場合は、物件価格とは別に相当の仲介手数料が必要になります。

この仲介手数料が不動産会社の収入となるわけですが、皆さんが思っているより高額になるものです。不動産会社(エージェント)から提示された金額を見てビックリされたことがある方も多いのではないでしょうか。不動産の売買においては全体の予算を把握しておく上でも仲介手数料について事前に理解をしておくことが大切です。

また、不動産会社(エージェント)の仲介手数料は下記のように宅地建物取引業法で定められています。

※仲介手数料には消費税10%がかかります。

◎取引物件価格(税抜)  仲介手数料の上限

①400万円超      取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税

②200万円超~400万円以下 取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税

③200万円以下      取引物件価格(税抜)×5%+消費税

※参照:宅地建物取引業法

https://www.mlit.go.jp/common/001307055.pdf

 

◎仲介手数料の計算例

では、事例を上げて仲介手数料を計算してみましょう。レインズ(不動産仲介会社だけが物件情報を確認できるシステム)で探すと福岡市西区の3LDK(73㎡)のマンションが3100万円(2023年12月26日現在)で売りに出されていました。仮に値引き交渉して3000万円(あくまでも計算しやすいように)にしてもらってこの物件を購入するとします。

仲介手数料は取引物件価格(税抜)によって算出できる速算式があります。事例では取引物件価格(税抜)は400万円を超えているので次の計算式を使います。

[取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税]

消費税を10%で計算すると仲介手数料は以下のとおりです。

・仲介手数料 = 3000万円×3%+6万 = 96万(税抜)

 96万円(税抜)に消費税10%を加えて105万6000円(税込)となります。

・支払総額は、物件価格3000万円+仲介手数料105万6000円(税込)=3105万6000円となります。

実際にはこの他に、引越し費用、登記費用等様々な費用がかかりますので、資金計画は余裕を持って準備した方が安心です。

◎仲介手数料はいつ支払う?

売買契約締結時に手数料の半額を、物件の引渡し時に残金を支払うのが一般的です。ただし、不動産会社によって異なる場合もありますので事前に確認しておきましょう。

※仲介手数料は売主・買主に関係なく、不動産会社(エージェント)と契約していれば売買が成立した時点で支払う義務が発生します。

 

補足:中古マンション本体は消費税がかかるの?

売主によって消費税の有無が異なるため注意が必要です。「取引態様」を見れば消費税の有無を見極めることが可能です。取引態様とは、不動産取引において不動産会社がどのように関わっているかを示すものです。例えば、ポスティングチラシ等で間取りや築年数などが掲載されている不動産情報欄の取引態様が「売主」と表示されている場合は、不動産会社自らが売主になっているため、消費税の課税対象となります。一方、取引態様が「仲介」や「媒介」などになっている場合は、不動産会社はあくまで仲立ちを行う存在であるあるため、売主は個人となりは消費税はかかりません。

 

いかがですか?こうして見ると、消費税10%や仲介手数料はけっこう大きな金額ですよね。売主が不動産会社の中古マンションは仲介手数料はかからないが、消費税はかかる。不動産会社(エージェント)が仲介する中古マンションは消費税はかからないが、仲介手数料はかかる。悩ましいですが、ホントに気に入った物件なら、あまり損得勘定をシビアに考えず購入決断をした方がいいのではないでしょうか?思い悩んでいるうちに、他の人が買っちゃうかもしれませんので。

 

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